絲山秋子「逃亡くそたわけ」

沖で待つ」にて芥川賞受賞した絲山先生の、九州を舞台に精神病院を抜け出した男女のロードムービー的作品。最近文庫本化したので手にとる。
精神病・・・っていうと無意識に避けたくなるけど、描写がすごくて思わず引き込まれます。幻聴と幻覚の表現がすごく真に迫っていて、読んでて自分が不安になる感覚がすごい・・・と思っていたら、先生のHPで実は躁鬱病だったと知り、納得。薬の表現とかも、経験してないとあそこまでは書けないよね。
とかいうより、病気とかそんなことは軽く超えて、男女二人の逃亡がすごく面白いです。是非嫌がらず、読んで欲しい。
解説を読むと、後から後からネタばらしがあって、「ほほう!!」と関心させられることしきり。そうかー!マルクスかあ!!もっと勉強しときゃよかったな、資本論。てな感じです。
博多弁と東京弁が交差して、「普通」とは違うという劣等感や焦燥感にかられつつも、これからの未来を感じさせる息遣いが生々しくていいです。