吉本隆明/編集構成糸井重里「吉本隆明の声と言葉。」

吉本隆明先生と言えば、言わずと知れた戦後思想界の巨人であり、作家吉本ばなな氏のご尊父。
人生一度は、その大思想家の著書を読みたいと思いつつも、あまりの敷居の高さに手にとってみることさえありませんでした。
そんな高い高い、果てなく続く思想の大階段の第一段目に、そっと踏み台を置いてくださったのが、この本であり、糸井重里氏でした。
二人の対談は非常に興味深いです。二人とも特に難しい言葉は使ってはいません。平易な言語で、高次なことを語っています。
ある部分になるとやはり難解で、一語一語の言葉の意味はわかるのに「どうして、わかんないんだろう・・・」と何度も何度も読み返してみるんだけど、どうしても理解できない部分がでてきます。
でも、それでもいいんだ!ということにも気づかされます。思想って・・・深い(泣)


一番楽しく読んだのは、親鸞のくだり。
「自分でいいことをしていると思っているときには、だいたい悪いことをしていると思うとちょうどいい。ぎゃくにちょっと悪いことをしているんじゃないか、というときにはいいことをしていると思ったほうがちょうどバランスがとれる」というところ。
もう親鸞が言っているのか、吉本先生が言っているのかわかんなくなってきますが。
こういう話を聞くと、もっと親鸞のことが知りたくなるし、吉本先生にも興味が湧いてきますね。


この本に出てくることは、本当に序の序の序の、そのまた序のさわりなんだけど、この一歩を踏み出せることによって広がる世界が大きくて、どんどん深く深く潜っていきたい気になります。もっと早くこういう本に出会いたかった!!



↓ってか、この本と「俳優のノート」が一緒に置いてある私のデスクって・・・