「TOKYO! 」(超ネタバレ)

<STORY>
とある一人の男。10年間、たった一人で引きこもりの生活を続けている。
父親から送られてくる金。洗濯物はクリーニング。配達される日用雑貨。彼の生活は事足りていた。
土曜日には、唯一の贅沢でピザを頼んでいた。同じ日常だったはずなのに、ピザを届けにきた少女のガーターベルトに目が留まる。そして、11年ぶりに人と目を合わせる・・・彼の引きこもり人生が変わり始める。






まずは序盤のテンポのよさに脱帽。整然と並べられたトイレットペーパーやピザの箱が、独特の空気をかもし出しながら、リズムよく繰り返されるカットで、彼の変わらない日常を表現していますが、いきなり作品の世界へ引き込まれます。
外のぎらぎらした太陽と、静謐な古民家の対比。
香川照之の表情はほぼ無なところが滑稽で物哀しい。そして、真っ白な蒼井優登場。
彼の生活に突然入り込んできた彼女の刺青がとっても鮮やかで新鮮。
「押した?」←この台詞サイコー☆
去っていく彼女のシーンで、スクーターに乗って光の中こちらをまっすぐ見ている彼女が、なんとまあ!美しいこと。あんな顔されたら、そら引きこもってても家出ますって!!
ポン・ジュノ監督は、香川氏も言ってますが「キラーショット」を必ず本編にはさんできますね。ぞくっとするほど美しい画。それが去り際の至上最強美しい彼女だったり、久しぶりに人に触れてしまった時の髪の毛が逆立つ感じ(ジブリのアニメでそんな場面あったな)だったりします。


後半、家を出る(出ようとする)ところのくだりも秀逸。
家を一歩出て、でもやっぱりやめようとして、っていうところの香川氏の動きがGood!心の動きがモノローグと共に身体の動きに直結しているっていう、珍しく視覚的にわかりやすく、でもすごく高度な演技。自転車自転車!からまってるし(笑)
そしてなんといってもあのダイアローグですね。外国人の監督が、日本語でよくぞここまで!と感動します。ああ確かに自分パニックの時、脳内でそんな会話してますわ!
あと、ここももちろんキラーカット。すりガラスの向こう側のオンナの人のくちがぼわーっと開いて頭まで消えていくシーン。これもまた!すごい!!激ヤバ!!


映画全体で感じるのは、静と動の対比、光(太陽)と影(屋内)の対比。そして、リズム。
2つのギャップが大きければ大きいほど、パワーがぎゅっと凝縮されて、引きこもりから外へ出るまでの爆発的エネルギーの描写へと繋がっていくのかなあと。なんとなく感じました。