嫌われ松子(ネタバレあり)

一足お先に観ました。小説を先に読んでいたので、「この物語をどうやって映像化するんだーーー!こんなに暗くて救いのない物語をっ!」というのが観る前の心配でした。


いきなりもう、テンポよくいく前半。やっぱり中盤までのポイントはズバリ『片平なぎさ』。もうこれがすごいタイミングでささってくる。たまらない。2時間ドラマの女王はやっぱり女王だ。
小説のディテールは残しつつも最初はがーっと飛ばしまくり。ギャグありまくり。間が良すぎてそんなに笑うところじゃないのにもうクスクス笑われされちゃう。極彩色の画面がアニメを見ているようで現実感がなく、サラリと前へ進めるのは監督の手腕。


そして、ちょうど半分くらいから本気モードへ。
中谷美紀が美しい。それまでも充分に綺麗なんだけど、龍くんのアパートに沢村ねえさんが迎えにくるシーンでの松子が本当にこれ以上ないってくらい美しい。多分このシーンの彼女の美しさを撮るためだけにこの映画に中谷美紀を出演させたのだと言っても過言じゃない。


最後は少々無理がある太り方で、設定も話も救いがないけれど、それでも最後の最後でちょっとほわっとする。ラストシーンでの妹回想はあれずるいな。


とにかく、あれだけ人の不幸な人生を2時間以上も見た後で、「明日も頑張ろう」って思えちゃう映画かなぁ。不思議だけど。
人の一生なんて、それこそ本人は必死で、周りも見えないくらい大変かもしれないけど、他人が客観的に冷静に見たら違うんです。「なんでそうしちゃうかなー、やめればいいのになー」なんて傍からみたら当然そう思えても、本人は自分でそのやめちゃえばいいはずの未来を選択していくんです。それこそ必死で。
だからこそ、何があっても自分らしさを失わずに生きていくしかないんです。どんなにバカでも。どんなに不幸でも。どんなに滑稽でも。